世界の印刷動向(第2報)
PRINT01(シカゴ)、JGAS2001(東京)から
IPEX2002(バーミンガム)
※1


国際印刷大学校
木下堯博※2

[内 容]

1、はじめに
2001年10月16日から20日までJGAS2001が東京ビックサイトで開催された。シカゴのPRINT01が9月13日に終了して、1ヶ月後に、アジアにおける最大の印刷機材展が行われた。
 今回の展示は500社の出展企業があり、西館はプリプレス、東館はプレスと製本・加工に区分されていて、PRINT01のミニ版という感があった。
 更に、初日から3日間にわたり行われた公式セミナーは各社の出展を補足し、将来展望をまとめたもので大変有意義な催しであった。
本報告では10月19日に発表したPRINT01の第1報(1)の続編として、JGAS2001を中心にして「世界の印刷動向」に関しまとめた。www.media-line.or.jp/igu

2、印刷及び印刷産業機械
日本の印刷産業(印刷業、製版業、製本業、加工業)の出荷額は1999年に8兆1673億円であった。
この出荷額は1990年から8兆円台で横ばい状況にある。バブル崩壊により右肩上がりの成長は見込めなくなって来ている。
アメリカでは2000年の印刷出荷額は約20兆円と見込まれているが、5000部以下の小部数印刷が主流を占めようとしている。また、納期も短縮されサービス産業の役割を一部果たして来ている。
一方、印刷産業機械(印刷機械、製版機械、製本機械、加工機械)の出荷額は1999年に5952億円となり、1990年の9168億円から減少傾向にある。(2)
印刷産業機械の2000年の生産額は3100億円となり、うち輸出額は2156億円で国内生産の70%は輸出となっている。この比は年々増大していて各社は輸出への活路を見出している。
印刷産業機械の輸入は2000年で548億円となり、生産額の17.6%が輸入されている。
印刷産業機械のうち、印刷機械の輸入割合は1990年の46%から2000年で59%に増大している。
世界の印刷機械の製造はドイツのHeidelberg,KBA,MAN-Roland、日本の小森、三菱重工、リョービなど技術力の競争となり、今後のダイレクト化、デジタル化、小ロット化などに対してどのように対応していくかが焦点となっている。

3、カラーの標準化
JGAS2001でオフセット枚葉印刷における印刷色の標準(JapanColor色再現印刷2001)が発表された。(3)
印刷用紙にはアート紙(JCP97の相当品用紙)、マットコート紙、コート紙、上質紙(いずれも三菱製紙)を用い、印刷インキは東洋インキ製造始め9社の標準インキがテストされている。
測定条件はX-Rite938、0/45,D50,2度視野、Black Backingであった。
このベタパッチの色度値(L*,a*,b*)からHA(色相角)、c*(彩度値)を求めた。(表1)
また、このデータからアート紙、上質紙の色度図をまとめた。(図1)「スライド参照」

表2 HA(色相角)の差

Color

アート紙

上質紙

HAの差

C

234

240

-6

M

356

359

-3

Y

94

96

-1

R

37

23

14

G

160

165

-5

B

288

284

4

アート紙と上質紙の色相角(HA)の差は二次色のR(赤色)がマジェンタ寄り14度と大きくなった。(表2)
研文社がヘキサクローム(パントン社)の印刷をハイデル8色機、小森6色機で実演をしていた。
このヘキサクロームの二次色のG部を改良し、その結果、色度領域が広がり、230線を用いて高品位印刷が可能なって来た。
印刷インキはT&KTOKAがパントン社とライセンスを結んでいる。
一方、これらの測定機器は日本平版機材がX-Rite500シリーズを展示し、色彩値立体マッピングツールなど各種機能が機種別で内蔵されるようになった。
伊原電子はオランダのSpectroStar社のSpectroCamを出展。一台で4っの機能(分光測色、分光濃度、モニター測色、スペクトルカメラ機能)を有し、万能タイプである。
また、CCDotは網点面積をCCDで測定し、パソコン上で網点解析を行う。
従って、Dot Gainを正確に測定することが可能である。

4、サーマルCTPからバイオレットCTP
PRINT01、JGAS2001ではバイオレットCTPが実用レベルになって来た。
版材はアルミ板銀塩が中心となっていて三菱製紙、Agfaが出荷している。
前者はEcoプロセッサー(塗布現像)対応となった。
銀塩は本来、高感度であり、感色増感が容易である。
明るい作業性(イエローセーフライト)のもと405nmのバイオレットレーザーダイオ−ドセッターはVIPLAS、プロセッサーはP−α880EcoRF−Hを用いている。
HeidelbergのCTPはPRINT01でProsetter(410nm)、Topsetter(830nm)と両者に対応し出展した。
品質的にはサーマル>バイオレット>コンベの順になり、サーマルの網点解像度が高く、LongRun対応になって来た。
大床製作所はドイツのKRAUSE社のレーサースターLS typeを出展した。これは内面ドラム方式でレーザーヘッドを405、532、1064nmに選択可能としている。
これは今回、日本で初の出展となった。
富士写真フイルムはバイオレット対応のフォトポリマータイプを参考出展し、サーマルCTP高速、高生産性のLuxelT−9000TP HS、大日本スクリーン製造はCTP Plate Rite8600を出展。いずれも高品質、高生産性を目的としている。
IPEX2002ではサーマルとバイオレットとの技術競争が展開されるであろう。

5、DDCPとカラーマネージメント
2001年10月18日、Kodak Polychrome Graphics社はImation社のMatchprintなどProof部門を買収したとのニュースがJGAS会期中アメリカから入ってきた。
Imationの従業員500名がKPGに移動する。KPGはこの買収により従来の網点対応でサーマルダイトランスファ-のアプルーバルXP2(A2サイズ)の他、Proofのメニューが豊富になった。つまり、目的別にDDCPを自由に選択が出来ることになる。
両社はアメリカのGATFインターテック技術賞を14回も受賞した輝かしい実績を有している。
カラーマネージメントシステムで富士写真フイルムのFFCMSは好ましい色再現技術を提案し、フィ−ドバックプロファイル作成により、色再現の精度を高めることが可能である。
将来はCMSサーバーを中心に設置し、共通のプロファイルによりマルチユースのカラーマネージメントを提案している。
きもとはThe Solution for Color Management in a Global Printingのキーワードのもと色測定を基本としたカラーマネージメントを展示した。
東洋インキ製造は紙の検査器を応用した分光器による品質検査装置を出展し、横軸の印刷枚数に対し縦軸にΔEをとり、印刷中の色の変化を7ヶ所設定し測定することが可能である。
Heidelbergは色の測定と管理に新次元の性能を確立するイメージコントロールのデモがあった。色の補正値はオンラインで印刷機械に転送され、印刷品質を保証する測定データをクライアントに提示し、品質の確認が可能である。

6、DI及びCylinder Imagingとプレス
DI機は1991年のPRINT展でHeidelbergGTO-DIが出展され注目された。
この10年間で大きく成長し、品質も安定し、多くの機械メーカーが各種のプレスを出荷して来た。
即ち、HeidelbergのQMDIPro、SM74DI, KBAのKarat74, ScreenのTruePress544,744、RYOBIの3404DI(Xerox Docu Color 233DI-4),SakuraiのOliver 74DIなど出荷されている。
プレートレスのMAN-RolandのDICO WebはCylinder Imaging方式である。
このプレスはアメリカですでに出荷されている。
JGAS2001で出展したプレス部門ではHeidelbergの5Solutions(Prepress, Digital,Commercial, Industrial, Package & Label)で対応、三菱重工はニューダイヤ304の4色機を中心にカラーマッチングから校正までを展開、小森コーポレーションはDigital Smart Factory 5 Key、リョービイマジックはプリプレス(文字も含む)からプレスまでトータルソリューションで展示、ハマダ印刷機械は「またまたとんでもないやつがあらわれた」というキーワードでインパルス4色機を展示していた。
バリアブル印刷ではサイテックスデジタルプリンチングジャパンがVersa Mark Business Color Pressを展示し、高速インキジェットのカラー版の実演があった。

7、まとめ
PRINT01のキーワードはEducation, Direct, Remote(EDR)の三つのワードを中心としてまとめた。
HeidelbergやXerox社は教育や人材育成に力をいれていたが、このJGAS2001では10年振りに印刷教育研究会(印刷系の教育機関の研究組織)が出展し日本の印刷教育機関の紹介を行った。
その他、プリンティングアカデミーやヒューネット(人材ビジネス)の出展があった。
著者がアメリカから帰国後、Heidelberg社がPrint Tech UniversityとDigiMaster9110のe-Learning教育をすることがメールで紹介された。
また、Xerox社も各商品のミニデモがWeb上で公開され、更にe-Learningにより、理解度を深めている。
このような潮流の中で本学は2002年1月より新しくインターンシップ制度を導入し、印刷界に優秀な人材が多く受け入れられるよう対応する。
JGAS2001の結論としてカラー再現やカラーマネージメントなどのColor, 文字フォントの対応やプルーフなどのCommunication ,B to Cなどに関連するConsumer の三つのC (3 C)をキーワードとした。
IPEX2002は印刷・出版・メディアのグローバルな技術のイベントとなるよう期待したい。
2001年11月7日の日本印刷学会中部支部(名古屋)での発表は約100枚のスライドを用いて報告したものを補筆した。

(2001年12月12日記)


参考文献

(1) 木下堯博;印刷雑誌84[11] 21〜26(2001)
    日刊工業新聞26面(2001年10月16日)
    PRINT01からJGAS2001へ講演要旨(2001年10月19日)
(2) 日本印刷産業機械工業会;2001公式カタログ(2001)
(3) ISO/TC130国内委員会;Graphic Technologyにおける標準化(2001年10月)
(4) 木下堯博;プランナー34[12]16(1997)

※ 1http://www.media-line.or.jp/kinoshita
※ 2kinoaki@mpd.biglobe.ne.jp

表1

JCP2001の色度値からHAとc算出

Paper

Solid

L*

A*

b*

HA

C*

アート紙

C

54

-36

-49

234

61

M

45

72

-5

356

72

Y

86

-7

92

94

92

R

45

66

49

37

82

G

49

-70

26

160

75

B

24

16

-49

288

52

マットコート紙

C

56

-34

-47

234

58

M

48

69

-5

356

69

Y

88

-7

89

94

89

R

48

63

43

34

76

G

51

-63

22

161

67

B

28

15

-45

288

47

コート紙

C

54

-36

-49

234

61

M

46

72

-5

356

72

Y

86

-7

90

94

90

R

45

66

46

35

80

G

49

-69

25

160

73

B

21

22

-47

295

52

上質紙

C

59

-24

-41

240

48

M

54

55

-1

359

55

Y

89

-7

71

96

71

R

53

52

22

23

56

G

53

-44

12

165

46

B

37

7

-28

284

29