熊本印刷文化典を祝う


国際印刷大学校    
    学長 木下堯博    
kinoaki@mpd.biglobe.ne.jp  


 1952年、第1回の印刷文化典が上野松坂屋で行われて以後、日本の各地で印刷文化典が年1回開催され印刷の重要性を日本国民に広くアピールして来た。
当時の「印刷あり文化あり」の標語は今日まで依然として印刷及び関連産業に浸透していて、世界的にも認知されて来ている。drupa2000の共催行事で開催されたグーテンベルグ600(1400〜2000)はマインツ市(ドイツ)のグーテンベルグ博物館の他、12ヶ所でバラエテイーに富んだ展示がされていた。
 また、韓国では清州市で印刷文化のシンポジュウムが10月12日から開催され記念講演会が行われる。筆者は1997年のユネスコ記念の講演会でのテーマであった「印刷文化遺産」に関し最新の技術をふまえて講演を行うことになっている。 10月7日には凸版印刷(株)が印刷博物館をオープンした。
印刷博物館に関しては長年にわたり世界の印刷博物館を視察し、長崎県印刷工業組合の長崎印刷組合史に「世界の印刷博物館に関する調査研究」と題して1995年9月2日、本木昌造120回忌を記念した座談会の記事と共にまとめた。ここでの結論は長崎市に本木昌造を中心とした博物館の建設であった。日本に於ける印刷博物館建設は永年の夢であったが、熊本県にはすでに天草コレジョ館(河浦町)と新聞博物館(熊本市)の二つの専門の印刷博物館を持ち、いわば日本一である。
 本年のドルパの折に訪問したライプチッヒ印刷博物館は4階建てのビルに活字、母型、平圧印刷機など多くの貴重な資料があり、現在でも有意義に使用されている。
 博物館は資料の保存と研究、および社会教育の場として重要である。
 筆者は「印刷教育の発展に期待する」との小論を印刷出版研究所の2000年11月号のプランナー誌にまとめたが、印刷に関する文化や教育などソフト分野は公的な支援があまりない。それぞれの有識者の私的な対応で今日まで努力し、印刷産業を支えて来た。
 本年開講したバーチャルの国際印刷大学校(http://www.media-line.or.jp/igu)は2学部6学科の構成で12名の教員スタッフと13名の理事会メンバーで21世紀の新しい印刷の大学として拡充を目指している。
 約40万人の印刷人一人一人が少しでも印刷文化や印刷教育をサポートすれば21世紀に向けて日本の印刷界が大きく飛躍することになろう。その意味で毎年行われる印刷文化典は大変、有意義なものがある。

 10月13日から開催される20世紀最後の“熊本印刷文化典”で機材展のみならず資料及び一般公開展などが成功することを心より祈念します。

(2000年10月10日)