韓国に於ける印刷関連の研究と教育


1.はじめに

  2000年10月韓国での印刷出版文化の国際シンポジュウムと11月の印刷技術シンポジュウムに招待され、合わせて10日間の日程でソウルを中心にして仁川、清州、大田、公州の4都市とその周辺をめぐり研究所、大学、博物館を訪問し印刷学術交流を行った。
 1980年7月、釜山工業専門大学(現、釜慶大学校)の金 成根教授の招待で韓国を訪問し、釜山とソウルで講演してから20年を経過した。(1)
 今日まで学会、研究会、調査活動などで15回以上の訪韓で海外活動の内では最も多くなり、研究者との交流が活発となった。一方、印刷教育分野でも各大学との交流が密接となり国際印刷大学校の設立により自由度が増し一層身近となった。
 2000年7月3日釜慶大学校のドクターコースの学生らにdrupa2000などの報告を行った内容を「印刷教育の発展を期す」(第2報)(2)として発表した。そこでは(1)全国高校グラフィツクアーツ研究会(1965年)、(2)印刷教育研究会(1985年)、(3)国際印刷大学校(2000年)のそれぞれの設立理念とdrupa2000の印刷教育・研究機関及び訪問したグーテンベルグ博物館とライプチッヒ印刷博物館などでの討論の概略をまとめた。
 この別刷りコピーを今回の11月の訪問で配布し、国際印刷大学校の意義を強調した。韓国はIMFの勧告以来、近年まで順調な回復を示していたが、2000年の下半期には株価が低迷し、ウオンも国際的に安くなりつつある。大型企業の倒産もあり、経済面で先行き若干、不透明感もある。(3)
 しかし、印刷及び関連部門は着実な経済運営と研究・教育が行われていて、各シンポジユウムには多くの参加者があり、活発な質疑応答は将来に向け展望が開かれたと思われる。
 1997年9月、ユネスコ国際会議では国際的な論文(4)が多くまとめられたが、今回の両シンポジュウムでの発表も歴史に残る論文がみられた。
 この論文では主として2000年10月のThe 3rd International Symposium on the Printing & Publishing Culture (ISPPC)、11月のKorean Association of the Graphic Arts Information Technology (KAGAIT) , Korea Institute of Machinery & Materials (KIMM)などでの発表概要と印刷に関連のある市立仁川専門大学、船城大学、新郊大学、中部大学校、新設のソウル市立技術大学、国立釜慶大学校との交流により印刷関連の研究と教育のあり方を考察した。

2.第3回印刷出版文化に関する国際シンポジュウム(省略)
3.KIMMとKAGAITでのシンポジュウム
3-1.KIMM
3-2.KAGAIT
4.印刷教育の発展
5.まとめ
 韓国での印刷に対する認識は行政から一般国民大衆まで伝統ある「印刷文化」を発展させようと、一致協力して対応している。
 今回の清州印刷EXPO2000は9月から10月まで1ヶ月以上もフェステバルが開催され、向いにある文化会館まで直指橋がかかり、臨時の展示館が多数立てられ、小学生が団体で地方から見学にきていた。
 ドイツのマインツ2000(グーテンベルグ600)は2000年の1年間の開催しているが、それに比較すればこのEXPOは規模的、時間的にも少ない。しかし、この開催のため、古印刷博物館は2階を増築し、展示内容も広がりをみせた。1377年刊行の直指心体要節を中心とした展示からヨーロッパ、中国、日本の印刷史の主要部分も展示していた。
 行政側の印刷文化に対する認識が高く、海印寺の八万大蔵経、江華博物館、太宗記念博物館、大田の科学博物館、ハンソール製紙の紙博物館、清州古印刷博物館など初等、中等教育での係わりが大きい。これらをバックグランドにして、民間活力を向上させ、印刷からマルチメデイアへの研究は大学、研究所、企業へと幅広く浸透している。
 韓国の印刷研究と教育は広い層へと拡大し、経済危機を乗り越えて急速に進展して行くものと予想される。
 詳細は印刷雑誌(印刷学会出版部)2001年2月号掲載予定