国際印刷大学校での色彩学


三浦 澄雄

1、 はじめに
昨年、国際印刷大学校の設立に参加し、2学部6学科のうち、グラフィツクアーツ学部の画像再現学科に所属し、調子再現論、色再現論、印刷適性論、印刷管理学などを担当することになりました。
平成12年度は基礎学科目(グラフィツクアーツ学、色彩学、情報学)の3学科目を開講であったため、著者は色彩学を担当しました。
バーチャル大学での教育は始めての経験であり、このようなオンライン教育はこれから拡大していくことを予想し、更に育英高専での教育経験がこのWeb大学でどのように展開出来るかなど各種の判断から色彩学のカリキュラムを設定して公開致しました。
本論では色彩学をベースにして、オンライン教育の実践と今後のあり方などををまとめてみました。


2、 国際印刷大学校の意義
現代社会は技術変化の激しい社会で、ドックイヤーともよばれ技術の寿命が短く絶えず新しいことを学んで行かなければならないことは概念的には理解できます。
しかし、実際の印刷企業では受注産業で予定が立てずらく、毎日の生活が多忙である中で新しく通信教育でも受講しようとしても余裕がない状況であると思われます。
従って、毎日の仕事の中で新技術を修得していかなければなりません。
色彩学のような基礎学科目を体系的に履修することは実際不可能に近いと思われます。
デザイン、プリプレス、プレスの部門で活躍されている場合、色彩を理論的に解析し、各種の問題点に遭遇する場合があります。
また、在学中色彩学を履修したにも拘わらず充分でなかった場合、社会に出て色彩学の重要さにきずいて勉学したいと思われる人もいるかも知れません。さらにこの分野を深く究めたいと考えている人もいることでしょう。
いずれにしても印刷と色彩との関連に関して研究してみたいと思っている人は予想以上に多いいと思われます。
このように自宅や職場で手軽に受講したいと思っている人は印刷産業界の従業員数40万人として1%以上の4000千人近くの潜在受講生がいることと考えられます。
1985年ごろから学校教育の場から印刷学の学科が廃止されて、画像工学関係の名称に変わってしまったことです。ここで問題なのは印刷界の土台の上に立って学科目が設定されていないことです。つまり画像工学の一部として印刷が論じられているに過ぎません。
現実の印刷界は技術的な問題は勿論、経営上も管理上もいろいろな困難に直面しています。
その問題解決のガイドあるいは手助けをしてくれる大学がありません。
その意味で印刷業界を土台にした国際印刷大学校は活動舞台がはっきりしていているだけに業界に貢献できる可能性は多いにあるわけです。
特に変革期にある印刷業界にとっては優秀な人材を確保することが生き抜くための第一の要件であるわけですからこの大学校への期待が大きいと考えられます。
アメリカの大学がMBA(Master of Business Administration)を授与するビジネススクールを開設してから、日本でも社会人のためのビジネススクールが開かれるようになりました。
また、通信教育で修士号が取得出来る様になりました。さらにバーチャルの大学院もスタートして勉強の意欲のある者にとって教育環境が次第に整備されてきています。この時代の流れにそってバーチャルの国際印刷大学校は内容を整備していけば印刷業界に役立つ教育機関になるとおもわれます。
インターネットを利用する人が増える程、国際印刷大学校の利用度が高まると思われます。
このインターネットを利用した教育はどの分野でも未経験ですから教育機関と受講者の両方の努力を積み重ねてスタイルを整えていかなければなりません。そこで今までの教育体系では得られない効果も期待出来るかも知れません。
運用の仕方にもよりますが教員側の一方的な教育ではなく、教員と受講者が一緒になって学科目をまとめていくことが可能になるでしょう。こうぎが一層実際に役立つものへと改善されるでしょう。
国際印刷大学校が整備されてここを卒業するとある資格、或いはある単位が認定されるようになることが望ましいことですが、かなりの実績(研究と教育)をあげることが必要となります。従って、内容を充実させこの大学校の価値が認められ勉学意欲のある多数の人達に役立つようになることが大事なことと思われます。


3、 国際印刷大学校の整備
国際印刷大学校が印刷業界における教育の役割を担うとすれば教育内容は技術のみでなく、管理も営業もマーケッテングもさらに経営にまで広げて業界の要望に応える必要があると思われます。しかも各部門の基礎だけでなく、時期ごとに生ずる問題についてもタイムリーに対応して業界の要望に応えるべきでしょう。
このような体制は一朝一夕で出来るこたではなく、時間をかけて整備しなければなりません。このためには国際印刷大学校の趣旨を理解してくれる多数の人達に呼びかけ協力者を募ることでと思われます。しかし、実際問題として国際印刷大学校に理解をしてくれる人達の多くは現に仕事を持っていて協力不可能の場合が多いとおもわれます。
この解決法としては教育の経験の無い人の中から、業界誌上に顔を出していない人の中から、或いは受講生の中から適切な人材を選ぶ努力が必要でしょう。
趣旨に賛成して協力してくれる人達が意外と多数いるのではないかと考えられます。
一方、教育内容に関してはそれぞれの学科目が目標を明確にする必要があります。
受講生が学科目の名称だけに惹かれて選択した場合、受講生によってその期待する所が異なるでしょう。教える側としてはすべての受講生の期待に100%応えることは不可能です。受講生の期待を裏切らないために何を目的に何をおしえるかをはっきりさせることが必要です。受講生は学科目のシラバス(教育内容)を読んで受講するかどうかをきめれば期待はずれになる率は少なくなるでしょう。教員側が解説と課題を提示し、その解答を提出してもらう作業を通じて当初の内容以外の事柄にも発展する可能性はあります。従って受講生の意見を聞きながら次回の教育内容を少し変更することも可能となります。
 教材の問題では各学科目の担当者が執筆した書籍があればそれを教科書として使用可能となりますが、無い場合は適切な教材を選択することになります。更に、担当者が小冊子をまとめてそれを用いることも可能ですが、Webの特徴を生かして大学とリンクしているHomePage、海外のHPなどを利用することが可能です。
全国各地で行われる機材展、セミナーなどへの参加も教育活動の一環となります。
現在の方法は解説と課題提出から14日(2週間)後に解答を出さなければ成りません。
教員が作成した小冊子を調べることで80%の解答が出来るように整備することが大切です。印刷図書館の利用も重要ですが仕事があり、地方の場合はアプローチが大変ですので長続きしないかも知れません。バーチャル大学の教育が成功するかどうかは教員側の努力と受講者の勉学意欲にかかっています。国際印刷大学校を盛り立てるには双方に努力する意識が大切です。インターネットによる教育に参加して実際の講義や解答の中で受講生の熱心さに感銘をうけましたし、これからも一層努力して内容を充実していくことを毎日考 えています。日本初の国際印刷大学校の賛助会員、理事会、教授会の皆様の今後のご発展を祈念致します。


4、 まとめ
色彩学は国際印刷大学校のHPに単元として8項目が纏められていますが,プリプレス、プレスお中心として展開した内容になっています。
しかし、多くの皆さんは色彩検定を受験するためのニーズが高く、別の学科目を立ち上げこれに応えるよう教授会に提案する予定になっています。
更に、平成13年度から専門学科目が開講されるとなると基礎学科目とのリンク、また他の専門学科目との線引きも大切な役割となります。
印刷人材育成には先ず教育、研究、発表、論文制作など創造力を養うことを欠かすことが出来ません。
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